Studio Henry Wilson Japan

私は、金属、石、ガラスを使った家具、照明、アクセサリーのデザインをしています。世界中を旅し、オーストラリアの外に住んだ経験もありますが、シドニーは私が日ごろ隠れ家のように過ごしている地域で、のびのびと制作に取り組める場所です。

スタジオ・ヘンリー・ウィルソンは2012年にシドニー市内に設立されました。

私の作品は、日常使いしやすいように、形や機能を工夫しています。一方で、手作業で作られたものから生まれる不完全な美しさや、頑丈でありつつも個々の魅力が感じられる作品を作ることも大切にしています。さらに、長く使えることも重要です。優れた製品は長く使って頂けますし、長く愛されるデザイン、ものづくりは現代のデザイナーとして、達成したいと考える、よりシンプルな持続可能性のひとつだと思います。

そのため私は、ヨーロッパの石工職人や、ブロンズやアルミニウムの鋳造部品を製造する地元の鋳物工場など、志を同じくする選りすぐりのサプライヤーや製造業者との長期的なコラボレーションを育んできました。

私が惹かれ、影響を受けているのは、オーストラリアの風景であり、その多様性や独特な光の特徴です。オーストラリアの荒々しく美しい自然環境では、完璧なものなど存在しません。経年によって変わりゆく風景は自然の摂理として評価されています。デザインも同様で、風化やそれが原因となって製造の際に生じる小さな違いや変化は、受け入れられ、むしろオーストラリアという土地を表現するものとして、評価されるべきものだと考えています。

私にとってオーストラリアが魅力的なのは、ヨーロッパをはじめとする先進国の技術開発、デザイン実践、哲学によって長年洗練されてきた価値観を認め評価する一方で、そうした歴史的に美しいとされる概念にとらわれすぎずに、アイデアを追求する自由があるからです。

私のデザインは、様々なアートや自然、産業についてよく調べる中で、そこから得られたインスピレーションを、写真やメモ、ドローイングといった形で記録することから始まります。その結果、スケッチやシンプルな厚紙やプラスチックの模型が、3Dソフトウェアや印刷技術を駆使して進化していくのです。時には、アイデアをどう活かせるか気付くまでにとても時間がかかることもあります。例えば、ランプのデザインが最終的にフックや本立て、椅子をデザインすることにつながることも。

私は、こうしたダイナミズムや、作品を制作する際に生まれる独特のエネルギーを大切にする姿勢が、とても重要なことであると気付きました。

素材それ自体が、その物理的特性やデザインを自ら直感的に表現することも多々あります。デザインの人類学を振り返ってみると、そこには明らかに、つながりが見られます。現代的なデザインや創作は、それ以前のデザインに影響を受けて生まれているのです。しかし一方で、デザインとは、インスピレーション、素材、そして創作とが、流動的に相互作用する行為でもあるのです。

私の作品は、このウェブサイト、シドニーのスタジオ、そして世界中のデザインショールームでご覧いただけます。

資格

オーストラリア国立大学芸術学部で木工を専攻、優秀な成績で卒業。オランダのデザイン・アカデミー・アイントホーフェンで修士号を取得。

展覧会／コレクション

• 応用芸術科学博物館、シドニー（オーストラリア）
• 西オーストラリア美術館、パース（オーストラリア）
• センペリング　XXIトリエンナーレ、MUDEC、2016、ミラノ（イタリア）